
BABY JOB代表取締役 上野 × fundnote取締役CIO 川合 対談
本記事では、上場、未上場企業に跨って投資を行うfundnoteIPOクロスオーバーファンド(愛称:匠のファンド あけぼの)(以下、あけぼの)のファンドマネージャーである川合が、投資先であるBABY JOB代表取締役の上野氏とインタビュー形式でディスカッションをいたします。
あけぼのは、25年5月にTOKYO PRO Maket(以下、TPM)に上場するBABY JOB(証券コード:293A)に投資をいたしました。BABY JOBは保育施設における紙おむつとおしりふきのサブスク事業を行うベンチャー企業で、2024年にTPM上場を果たしました。今後グロース市場への市場替えを狙うとの報道もあり、更なる企業価値の向上が期待されます。また、日本の投資信託においてTPM上場銘柄に投資を行うのは初めてのケースとなります。本インタビューを通じて、BABY JOBの成長戦略や今後のエクイティストーリー、あけぼのの運用哲学をお伝えしたいと思います。
話し手:BABY JOB株式会社 代表取締役 上野公嗣

1978年和歌山県生まれ。武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科を修了。大手紙おむつメーカーに約10年間勤め、2012年にBABY JOB株式会社の前身である株式会社S・S・Mを設立。当初は地域型保育事業を中心に全国で45施設を運営。2019年には、保護者や保育士を支援するサービスとして、紙おむつとおしりふきのサブスク「手ぶら登園」等を開始し、全国8,200施設以上で導入。現在では、保育施設探しをよりスマートにするサービス「えんさがそっ♪」や、保育施設向けキャッシュレスサービス「誰でも決済」を提供し、「子育てに関するタスクが多すぎる」という社会課題の解決と「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現を目指している。自身も保育士、幼稚園教諭資格を取得しており、全国小規模保育協議会の副理事長を務める。2024年には、TOKYO PRO Marketに上場。
聞き手:fundnote株式会社 取締役CIO 川合直也

2013年に三井住友アセットマネジメント(現三井住友DSアセットマネジメント)入社、社内選抜でロンドンビジネススクールへ留学。19年に香港のヘッジファンド入社。21年にfundnoteを共同創業し、私募ファンドでクロスオーバー投資を実践。24年12月から公募投信「匠のファンド あけぼの」の運用担当。IPO後5年以内の中小型成長株、及び2年以内に上場を目指すレイトステージの未上場企業への投資に特化して運用。
ビジネスモデルと優位性
– 川合:御社がおむつのサブスクというビジネスモデルで成功に至るまでの試行錯誤の歴史について教えてください。
– 上野:もともとは、2012年に「スーパー・ストロング・マザー(株式会社S・S・M)」という、お母さんたちを集めた人材派遣事業をしようと起業をしました。大手紙おむつメーカーで営業をしていた頃、売り場に立つ“お母さんスタッフ”のトーク力と販売力が桁違いなのを実感し、「お母さんの力を社会に活かしたい」と起業したのが原点です。
ところが当時は、待機児童問題が深刻で、子どもを預けられずに働けないお母さんが多かったので、まず保育施設の運営を始め、最終的には全国で50園を展開しました。
預け先を作ったにも関わらず、送り迎えに来る保護者の朝の姿は想像以上にしんどそうでした。夜泣きで寝不足の中、紙おむつ・布団・着替え・タオル、場合によってはお米まで毎日準備して持参し、使用済みおむつは持ち帰る――これでは仕事と子育ての両立どころではありません。時間的にも精神的にも、余裕がないのが現実です。
そこで生まれたのが、紙おむつとおしりふきを園に直接届けて使い放題にする紙おむつサブスク「手ぶら登園」。保護者は紙おむつに名前を書く手間や、持参する手間が無くなります。また園も紙おむつの個別管理が無くなるため、保育士の業務の負担が軽減され、子どもと向き合う時間を増やすことができます。
サービス開始翌年、「日本サブスクリプションビジネス大賞2020」でグランプリを受賞し、BABY JOBが提供する紙おむつサブスクは47都道府県8,200施設以上(2025年5月時点)で導入、東京都内認可保育施設では約4割に導入されています。
– 川合:個人的には、メーカーから保育施設に直送される点、すなわちメーカーによる配送網を活用し、御社として在庫リスクや配送コストを負わない点が素晴らしいと思っています。
– 上野:ありがとうございます。当社の紙おむつサブスクは、保育施設への納品をすべてメーカーの配送網で行っており、当社が在庫を持たない仕組みを構築しています。
これにより、在庫管理や配送にかかるコストやリスクを抑えながら、全国どこでも保護者が安心して利用できる価格でサービスを提供できています。
また、メーカー側にとっても、少子化により縮小が見込まれる家庭市場とは異なる安定した販路を確保できるほか、販売促進費の削減といったメリットがあります。こうした双方にとっての利点があるからこそ、ユニ・チャーム株式会社に加え、花王株式会社や大王製紙株式会社といった大手メーカーとの連携が実現しています。
– 川合:過去にはおむつメーカー自身や他社による参入もありながらも、国内トップのポジションを構築し他社を引き離しています。御社の優位性はどのような点でしょうか。
– 上野:当社の強みは、単におむつを提供するだけでなく、かつて保育施設を運営していた経験を生かし、保育施設や保護者に寄り添った包括的なサービス設計と、丁寧なカスタマーサポート体制を整えている点にあります。
さらに、エプロンやコットシーツといったオプションの提供に加え、保育施設の園児集客を支援する「えんさがそっ♪」、保護者の負担を軽減するキャッシュレスサービス「誰でも決済」なども展開しており、「子育て支援インフラ」として多面的な価値を提供していることが、他社との大きな違いです。

今後の成長戦略
– 川合:まずは既存事業であるおむつサブスクにおいて、全国の保育施設への営業活動の方法を教えてください。TPM上場を機に変化はありますか。
– 上野:当社では、保育施設の業務負担を減らし、保護者のサポートにつながることを目的に、全国の保育施設へご提案を行っています。特に現場の声や課題に共感しながら進めるスタイルを大切にしており、これまでグループとして保育施設を運営してきた経験があるからこそ、園長先生や保育士さんとリアルな対話ができる体制を整えています。
また、自治体との連携にも力を入れており、公立施設での導入を広げるために、連携協定の締結や試験導入を進めながら、成功事例を全国に広げていく取り組みを続けています。
TPMへの上場を通じて、企業としての信頼性が高まることで、サービスの認知度アップにもつながると考えています。今後もより多くの園でご利用いただけるよう、営業体制も強化していく予定です。
– 川合:決算説明資料のSAM、TAMを拝見すると、今後はおむつに加え、他の商材や周辺事業への展開も期待されます。今後の可能性及び時間軸についてご教示ください。
– 上野:今後も当社のビジョンである「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現に向け、当社は今後も継続した成長を目指しております。
今後は現在の主事業である紙おむつとおしりふきのサブスク事業の成長拡大に加え、サブスク事業への商材の追加、保護者がスマホを使って片手で簡単に保活を行えるプラットフォームえんさがそっ♪事業、園内で発生する現金払いの負担軽減を目指す誰でも決済事業、また、2025年1月に設立した当社子会社である保育第三者評価株式会社における保育施設の第三者評価事業等の展開も予定しております。

株式市場について
– 川合:12月にTPMへの上場を果たしました。御社は新規上場時、TPM史上初めての「既存株主の売出を伴うIPO」を実施され、そして今回TPM史上初めての「機関投資家による株式取得」を経験されました。この市場のプレゼンス向上に大きく寄与されたと思います。TPMに上場した経緯と、TPM市場に対する期待を教えてください。
– 上野:当初は一般市場を目指し、上場準備をしておりましたが、現在一般市場は、株価が低迷しており、足腰をしっかりとしてから一般市場に上場したほうがいいと判断しました。また、VC株主の中には償還期限が迫っている株主もおられ、そこでTPM市場を活用し、売出しを行うことといたしました。
TPMに上場することで、自治体の営業等や当社の与信限度額等の信用力が上がると考えており、実際にそれらは上がってきていると思います。
– 川合:御社がTPMに居たからこそ、弊社もBABY JOB の素晴らしさに気付き投資する機会を得られたと考えています。御社の今後の資本政策の展望をお聞かせください。
– 上野:しかるべきタイミングでグロース市場への鞍替えも視野に入れ、検討しております。

ファンドマネージャーの視点
同社のおむつサブスク事業は社会的意義という観点はもちろん、ビジネスモデル的にも競争優位性をしっかりと築いており、今後の利益拡大の蓋然性が高いと考えました。上野社長は新卒の大手紙おむつメーカーから一貫して育児に関連した領域で取り組んでこられ、業界に対する知見の深さを事業の構築に活かしていらっしゃると考えております。
私は、既存事業で市場浸透率が拡大していく中で、相応の収益規模を確保出来ると予想しています。解約率が低くて顧客獲得の効率も良く、業績予想をしやすいビジネスモデルであり、一般市場への上場後は一定のバリュエーションマルチプルが付与されると期待しています。
本記事をご覧いただきありがとうございました。
YouTubeにて対談動画も公開されております👇
【日本初】公募投信からTPM上場企業へ直接投資!資金調達の舞台裏|fundnote × BABYJOB
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会社概要
会社名: fundnote株式会社
設立: 2021年8月
代表取締役社長: 渡辺克真
資本金: 140百万円(2025年6月19日 時点)
事業内容: ・投資運用業・第二種金融商品取引業
・適格機関投資家等特例業務
登録免許等: 関東財務局(金商)第3413号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会 加入
金商法に基づく表示等はこちらhttps://www.fundnote.co.jp/risk/
※本資料では個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。